中央アルプスの正式名称は木曽山脈です。南アルプスや北アルプスと違って3000m級の山はありません。
とはいっても山脈の最高峰の木曽駒ヶ岳(2956m)、宝剣岳(2931m)、空木岳(2863m)など名だたる山々が連なっています。ここの特徴は、宝剣岳の千畳敷カールなどの氷河の浸食によって出来た圏谷(カール)に広がる高山植物のお花畑で、その規模はおそらく日本有数です。又、ここから眺める南アや北アの眺望も素晴らしいものがあります。しかも千畳敷の2640mの場所までロープウェイで簡単に行けることから、夏休みの季節などには家族連れで賑わう山です。
高山植物の固有種の点でみれば中央アルプスはそれほど多くはありませんが、なんといっても最大の固有種は木曽駒ヶ岳のヒメウスユキソウ(コマウスユキソウ)です。今回、ヒメウスユキソウの写真が撮れましたので中央アルプスのページを作成してしまいました。
作品の追加、変更は随時行う予定ですので、ご了解下さい。
千畳敷より見た宝剣岳
最終更新日;2024年4月18日
【キク科】
【キンポウゲ科】
【ナデシコ科】
(ここの並びは、あいうえお順)
以下の並びは、APGVに準拠。 探したい花の名前がわかっている場合は、トップページの【花の検索】から探すと全ての山のページが対象になります。
【キンポウゲ科】
シナノキンバイ (キンポウゲ科 キンバイソウ属)
Trollius shinanensis (信濃金梅)
本州の中部(白山)以北と北海道の中央高地以西に分布します。海外は朝鮮半島北部と中国東北部に分布します。
中央アルプスの魅力は氷河の浸食によって出来たカール(圏谷)に広がる高山植物群です。千畳敷カールには、シナノキンバイの大群落が広がります。
中部山岳ですと、どこでも見られる高山植物の代表のような花ですが、これだけ集まると圧巻です。近縁種のチシマノキンバイソウと非常によく似ています。違いは精々花弁と雄蘂の長さが同程度なのが「チシマノキンバイソウ」で、花弁が雄蘂より短いのが「シナノキンバイ」です。チシマノキンバイソウは国内では北海道の大雪山系から知床山地に分布します。シナノキンバイは北海道にも分布する為なのかエゾキンバイソウという別名もあり、紛らわしい別名です。また、以前の分類ではチシマノキンバイソウの変種扱いでしたが、APG分類では独立種となりました。
キンバイソウの仲間には、名称がキンバイとキンバイソウの両方が存在します。紛らわしいので、シナノキンバイソウのようにキンバイソウに統一する見解があります。
【ナデシコ科】
イワツメクサ (ナデシコ科 ハコベ属)
Stellaria nipponica var. nipponica (岩爪草)
中部山岳(北アルプス、中央アルプス、南アルプス、白山、御嶽山、富士山)に分布し、海外には分布しません。茎は良く分枝して、写真のような大株を作ります。葉は対生して、長さ2〜4cm、幅1〜2mmの線状で1脈があり、基部の縁に僅かに毛がある以外は無毛です。
宝剣岳から木曽駒ヶ岳にかけての稜線沿いの道にはこの花の大株が結構目立ちました。
【キク科】
ミヤマオトコヨモギ (キク科 ヨモギ属)
Artemisia pedunculosa (深山男蓬)
中部地方の亜高山帯から高山帯の砂礫帯で見られる高山性のヨモギです。海外には分布しません。
高山性のヨモギの葉は細かく羽状に裂けるものが多いのですが、本種は浅く切れ込んださじ型の葉を根生させます。
岩場に生育する為なのか、茎を真上に立てずに斜めに立てている姿をよく見掛けます。
平地に分布するオヨコヨモギ(A. japonica)の高山変種のような名前ですが、両者は全く別の植物です。
オトコヨモギの名前の由来は、頭花の中の両性花は結実せず雌花だけが結実し果実も小さいので実がつかない植物と思われて、男ヨモギと呼ぶようになったそうです。確かに平地のオトコヨモギはみすぼらしい花を咲かせますが、高山性の本種はヨモギの仲間としては大きな花をつけます。
ヒメウスユキソウ (キク科 ウスユキソウ属)
Leontopodium shinanense (姫薄雪草)
日本に分布するウスユキソウ(エーデルワイス)の中では最も小さいとこから姫薄雪草の名前があります。木曽駒ヶ岳に特産することから、別名をコマウスユキソウとも言います。最近はこちらの呼び方の方が、通りが良いようです。中央アルプスを代表する固有の植物です。
近縁種には、ハヤチネウスユキソウ、オオヒラウスユキソウ、エゾウスユキソウ、ミヤマウスユキソウ、ホソバヒナウスユキソウ及びミネウスユキソウがあります。
色々な花の写真を撮っていますが、いつも花期には惑わされます。この花の花期は、本来は7月下旬だと思いますが、8月のお盆のころでも見頃の株が沢山咲いていました。普段あまり登らない山で花の写真を撮ると、同じ花が咲く別の山のページに組み込むのですが、この花だけは他の山には入れられないので、花数は少ないのですが中央アルプスのページを作ってしまいました。
尚、当ページに掲載した写真の著作権は中村和人にあります。
無断転載しないで下さい。
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