2001年
南ア・白峰三山縦走 (2001年8月9日〜8月11日)
この年は全国的に猛暑が続いて水不足なのに今回の山行の頃から前線が本州にかかり天気は曇りがちです。北岳には、ここ5年ご無沙汰しているのですが、今回は20年ぶりに白峰三山を縦走することにしました。
本来ですといつもの「あずさ81号」に乗るのですが、5年の間に中央本線のダイヤは随分と変わっていました。
山の話とは全く関係ないのですが、「あずさ81号」のダイヤは、新宿7:02 → 八王子7:33 → 甲府8:34で、新宿の発車時刻が遅くなり、「スーパーあずさ1号」に追従するダイヤになっています。八王子を6:58に出る普通電車でも甲府駅9:00発のバスに充分間に合うので、鈍行列車の旅となりました。
白根御池小屋は、91年に三角屋根の新しい建物になったのですが、その建物も数年前の大雪で押し潰されたとかで、プレハブの小屋になっていました。経営も以前は個人だったのですが芦安村村営となり、公衆電話もつきました。名前の由来となった「白根お池」は、土砂の流入でますます小さくなっていました。
翌日は草すべりを登るにつれてガスが深くなり、今にも降りそうな天気になりました。稜線に出るとガスは一層激しくなり、ポツポツしてきたので雨支度をしました。肩の小屋は相変わらずの佇まいでしたが、ここにも公衆電話が出来ました。北岳山頂に着く頃にはガスも少しは弱くなりました。この年は全体に花期が早いようでムカゴユキノシタなどは盛りを過ぎていました。
北岳山荘は外のトイレなどが新しくなっていました。時間が早いので、ひと休みしてから間ノ岳を目指しました。この頃からガスが再び濃くなりましたが雨の心配はなさそうです。中白峰を過ぎてからは幾つものピークを捲いて行くのですが、ガスで先が見えないせいもあって、なかなか間ノ岳に着きません。
南アルプスは全体的にチシマギキョウが優勢なのですが、間ノ岳山頂付近はイワギキョウが勢力を保っています。間ノ岳から農鳥小屋へのコースは20年前と変わっているようで、以前はかなりのザレ場を通ったのですが、今では歩きやすい道になっています。
最近の山小屋はどこも小綺麗になってしまいましたが、農鳥小屋は昔のままの山小屋で、トタンで囲った外壁に、中には土間があって入口は重たい引戸となっています。電話どころが電気もなく明かりはランプです。シュラフ持参だったので千円引きも嬉しいです。夕方からガスが雨に変わり、その晩はかなり冷え込みました。
夜の間に前線が南下し関東南部にかかった状態で、雨どころか何時雷が来てもおかしくないような気圧配置です。本来ならは、荒天の筈ですが山が見えるのが不思議なくらいです。西農鳥岳に着く頃から予想通りガスが濃くなり始めました。農鳥岳を経て大門沢降下点から急いで下山を開始しました。20年前も雷に追われて下山したのですが今回も同じです。大門沢小屋で休んでいると、ついに雨になりました。雨支度をして再び奈良田を目指しましたが、歩いても歩いてもなかなか奈良田には着きません。ほぼ予定通りには歩いているのですが、樹林帯の中のコースは目標物が無いだけに余計長く感じるのです。2時間歩いて吊り橋を渡り、舗装された林道に出てから更に40分ほど歩いてようやく奈良田のバス停に到着しました。
バスが発車して暫くすると激しい雨になりました。東海道新幹線が運転を見合わせるほどの豪雨で、つくづく早く下山して良かったと思いました。
今回は天気に恵まれず多くの区間でカメラを仕舞ったままの山行だったので、写真は殆どありませんでした。
利尻山 (2001年7月7日)
21世紀最初の山は利尻山となりました。
何かの本に洋上の独立峰である利尻山は、港で登山靴の底を海面に接してから登るのが正しい登り方だと書いてありました。だとすると、標高約200mの3合目まで宿の車で送ってもらったので邪道な登山となりました。
利尻山の標高は1,721mですが、車で送ってもらったとはいえ200mの高さから登る訳ですから標高差は約1,500mです。日本第二位の北岳は3,192mありますが、登山の起点となる広河原は標高が約1,500mもありますから、利尻山は中部山岳の3,000m級高山と同じくらい険しいのです。
今日は、前日までの悪天候がウソのような良い天気になりました。3合目といっても低い場所から登るせいか樹林帯の長いこと。森林限界を出ると姫沼や鴛泊の町や礼文島が良く見えました。花は意外と少なく、登る人が多いせいか登山道周辺はかなり荒れていました。長官山以降は登りがきつくなり、9合目を過ぎたところで、待望のリシリヒナゲシを初めて見かけましたがまだ蕾でした。株数も少なく、登山道周辺で見かけたのはたったの6株で、開花している株は残念ながら見つけられませんでした。登山道から見下ろす崩壊斜面には点々と黄色い花が見られ、どうやら一般人が立ち入れない場所には結構咲いているようです。
9合目の斜面のボタンキンバイの群落もそれなりに咲いているのですが、近づけるような場所ではありません。この花もたった1株だけ登山道沿いに咲いていてくれました。利尻山の上部で目立った花はエソツツジでしたが、やや花期も終わりで撮影しようとすると枯れ花が一緒にあったりして、被写体となるような株を探すのに苦労しました。
登り初めて約5時間弱で山頂に到着。風が非常に強く体感温度は寒く感じました。山頂は時々雲に覆われる為、礼文島や宗谷岬は見え隠れしました。南側から雲が湧いてくるので、オタドマリ沼方面だけは全く見えませんでした。沓形から登ってきた人の話だと、沓形コースの方がもっと花が少ないとのことなので、鴛泊に戻ることにしました。
下りは利尻富士温泉まで歩いて汗を流し、隣の高山植物展示園で開花しているリシリヒナゲシを撮影してから鴛泊港まで歩き、足を伸ばして海の水に靴の底を浸けました。干潮なのか海面が低く苦労しましたが、これで下山だけは正しい下山をしたと胸をはれます。
注) この年に見たリシリヒナゲシも真っ赤な偽物。本物のリシリヒナゲシは2016年に初めて見る。
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