2024年
昨年の尾瀬は、温暖化の影響でミズバショウが遅霜ですっかり痛んで悲惨な状態だったので、今年は山開きの前に出掛けたのですが、早過ぎでミズバショウは殆ど咲いていない状態でした。7月には34年振りに八ヶ岳を縦走したのですが、体力は確実に落ちてきているようです。9月には甲斐駒ヶ岳に行ったのですが、直前に持病の腰痛が発生してしまいました。鎮痛剤を飲みながら仙水峠まで登ったのですが、天候が悪化するという予報に変わったので無理をせずに引き返しました。
北沢峠 (2024年9月8日〜9月10日)
甲斐駒ヶ岳へのルートである南アルプススーパー林道の山梨側は2019年の台風19号で大きな被害を受け、現在に至るも復旧していません。北沢峠には伊那側からしか交通手段はないのですが、途中の路線バスが大幅減便になってしまいました。公共交通機関は夏期の休日前後に運転される臨時バス(ジオライナー)と乗合タクシーのジオタクシーしかありません。7月に続き8月も休日の天気が悪い上に休日は小屋が予約で一杯です。などの理由で山行きを見合わせていたら持病の椎間板症が痛み出しました。医師に診てもらうと特に悪化はしていないとのことでした。このまま今年の夏が終わると思うとやりきれないので、山に登れなくてもいいという覚悟で痛み止めの薬を飲みながら甲斐駒ヶ岳に出掛けることにしました。
宿を予約する時は良かった天気は、出発直前には3日間共に午後は雨か時々雨に変わりました。新宿発の「あずさ5号」は先行する電車の車両故障の影響で出発が20分ほど遅れ、茅野駅到着も20分遅れました。ジオライナーの出発時間は10時54分なので余裕の筈でしたがが、伊那市のホームページ掲載時刻が誤りで実際には40分発だったので危ういところでした。ジオライナーはJRバスなのにSuicaが使えません。乗り継いだ南アルプス林道バスは各種のキャッシュレス対応がなされていました。12時頃から雨の予報が天気予報を見る度に雨の降り始める時間が遅くなりました。北沢峠はスマホの電波状態が悪いのですが、それでも何とか天気予報が表示されました。仙水小屋は昔ながらの山小屋で到着した時には誰もいません。暫くすると本日泊まる予定の登山客3名も到着し、女性の小屋主もキノコを採って帰って来ました。宿泊客は4名だけです。小屋は雑魚寝ではなく、しっかりとした木枠で囲まれた半個室型の宿泊施設でした。新型コロナ対策で仕切を作るよう県の指導があって改装したとのことです。おかげで小屋が手狭になり、隣に宿泊棟を増設するとのことで、既に基礎工事が終わっていました。来年には建築工事が始まるので小屋の前には建築資材などが置かれていました。小屋の主人が1人で調理から全てのことをするので、仙水小屋が完全予約制ということが良く判りました。天気予報を見る度に雨の降り始める時間は遅くなり結局雨は降りませんでした。しかし明日の天気は、昼間は雨の予報に変わりました。夕食には先ほどのキノコの味噌汁と栗御飯が出ました。
未明の天気予報では終日曇りでしたが、明るくなる頃には再び昼頃パラつく予報に変わりました。腰痛の問題もあるので仙水峠で判断することにし、シュラフなど一部の荷物をデポして小屋を出発しました。仙水峠は晴れており摩利支天の巨岩が間近に迫ります。遠くには鳳凰三山の地蔵岳のオベリスクも見えます。スマホの電波状態も良くなりました。天気予報は8時頃からパラつき10時から雨に変わりました。仙水峠から見上げる駒津峰の上部は等高線の幅からも急登と判っていましたが、実際に眺めてもかなりの急斜面でしかも登山道が真っ直ぐに作られています。登れないことはないのですが、荷物をデポしてあるので同じルートで下ると下山時は確実に雨に遭いそうです。膝と腰が悪いので濡れた急斜面だと下山が不安になり、今回は登山を諦めで仙水小屋に戻ることにしました。30分ほど仙水峠に滞在したのですが、晴れていた天気が急速に曇り始めました。小屋に戻ると小屋の主人は不在でしたがデポした荷物をリュックに詰めて、今日の宿泊場所の「こもれび山荘」に向かいます。山荘で天気予報を見る度に昨日同様雨の降り始める時間が遅くなり、15時過ぎまで降らない予報に変わったので甲斐駒ヶ岳の登山ルートの一つである双子山の途中まで行くことにしました。このルートも等高線の間隔は駒津峰の上部と同じ位ですが、登山道はジグザクになっているので時間はかかるが急登ではありません。しかも樹林帯なので雨や風が多少強くても安全なルートに思えました。北沢峠から約1時間登ったところで前進を止めて下山しました。雨の降る時間は遅くなり結局降らずに終わりました。
今日の天気も昼前後に雨の予報に変わりました。10時のバスの時間まで山荘に留まることにしていたのですが、明るくなると気が変わって仙丈ヶ岳の五合目まで行くことにしました。北沢峠を出発して昭文社の時間より若干早く五合目(大滝の頭)に着きました。当初の予定の13時のバスならば仙丈ヶ岳山頂まで往復出来そうですが、今日は早く帰ることにして下山しました。北沢峠発10時のバスに乗ったら急に雨が降り出しました。山頂まで行かなくて良かったと思いましたが、バスが発車して暫くしたら雨は上がりました。戸台は猛暑です。仙流荘で風呂に入って蕎麦でも食べようと思っていたのですが、今日は定休日とのことです。仕方ないので予約していたジオタクシーを1本早い便に変更して高遠に行きました。運転手さんお勧めの高遠の蕎麦屋は休業か満員で蕎麦にありつけません。バスと飯田線を乗り継いだ岡谷駅では待ち時間が50分もあるのですが、駅は更に寂れて唯一の売店のキヨスクも無人店舗に変わり缶ビールすら売っていません。空腹なのでおにぎりを1個だけ買いました。ようやく着いた上諏訪も駅前には食事が出来そうな店が見つかりません。仕方がないので直近の「あずさ」に乗車変更し、ニューデイズが有人だったので、やっと発泡酒とおにぎりなどを買って「あずさ」に乗り込み帰路につきました。
八ヶ岳 (2024年7月21日〜7月23日)
今年の八ヶ岳は天候に恵まれず7月初めから何度も日程変更した上での山行となりました。茅野駅で渋の湯行きのバスに乗った時までは晴れていたのですが、渋の湯に着く頃には曇り出しました。渋の湯から南八ヶ岳に登るのは1990年以来34年振りです。前回は樹林帯の中の登山道を歩いていたら2時間程度で黒百合ヒュッテに着いた楽な道の記憶しかないのですが、渋の湯からハードな登りが続くと感じるのは年を取ったせいなのでしょうか。途中平坦な区間もあるのですが、唐沢鉱泉方面からの道との合流点からは、黒百合平まで谷筋に沿って登ります。滑り易い大きな石や岩がコロゴロした区間で斜度もあるので岩を越えるのにも一苦労します。途中で靴の紐を締め直したりして5分程ロスをしたのですが、昭文社の地図の時間よりも15分も余計にかかってしまうとは情けないです。今回も黒百合ヒュッテ周辺には全く花は咲いていません。夕方になるとガスが出て来ました。今日は満月なのですが、月は全く見えません。
朝になっても黒百合ヒュッテはガスに包まれたままで、西寄りのやや強い風が吹いて気温は13℃で少し肌寒いです。出発して5分で中山峠を過ぎると東天狗岳への登りが始まりました。34年前は簡単に登った気がするのですが、巨岩の多い険しい道を昭文社の地図通りの時間で登りました。ガスで日が遮られて風もあるので汗をかかずに済みました。東天狗岳山頂はガスが深くて全く視界が利かない上に風も強いです。山頂で出逢った3人連れの女性グループのうち、1名は79歳でもう1名は75歳と聞いて驚きました。天候と体力的なことも考えて今回も西天狗岳はパスしました。根石岳を登っている最中に一瞬ガスが切れて東西の天狗岳が見えましたが、スマホを取り出す間もなくガスに包まれてしまいました。箕冠山山頂ではニホンジカを見掛けました。この場所でも害獣が増えたようです。夏沢峠が近づくにつれて晴れて来ました。強烈な日射しを受けて硫黄岳山頂を目指します。山頂付近のケルンが見えて来てもなかなか山頂に着きません。昭文社の地図の時間よりも10分オーバーして硫黄岳山頂に着きました。山頂でカメラを出して写真を撮りながら硫黄岳山荘に下りました。コバノコゴメグサが多いのですがコマクサやオンタデも10年前よりは増えたような気がします。34年前は更に横岳を越えて赤岳山頂まで行ったのですが、年を取ったせいなのか今回は硫黄岳山荘泊まりで精一杯です。
宿泊の手続きをしている間にあんなに晴れていた天気が曇り出しました。山荘の傍の高山植物園を廻りますが、めぼしい花は咲いておらずタカネシュロソウが目立つ程度です。硫黄岳山荘や植物園の周辺は昔からニホンジカなどの害獣防止用の電気柵が設けられていましたが、今は横岳の山腹には至る所に電気柵が設けられています。ハイマツの影に咲いていたリンネソウやタカネサギソウなどを撮りました。横岳方面に撮影に行きます。タカネシュロソウ、ムカゴトラノオ、タカネツメクサが目立ちます。良く見るとミヤマツメクサも固体数は結構あるのですが花は全く咲いていません。近縁種間で開花時期を少しずらしているのかもしれません。花期の筈のヤツガタケキスミレも葉だけの小さな株しか見つかりません。帰りに珍しいシロバナチシマギキョウを見掛けました。チシマギキョウは多くの山で今まで何度も見ましたが白花は初めてです。続けて、もう1株白花を見掛けました。硫黄岳山荘付近のコマクサの群落の中には、毎年1株位はシロバナコマクサが咲くのですが、今年も白花が1株2輪だけ咲いていました。登山道からかなり離れた場所なのでズームレンズの望遠側で何とか写真を撮りました。夕方になると小屋はガスに包まれてしまいました。今シーズンの八ヶ岳は天気が悪く、山荘の従業員も6月5日以降は朝日を6月20日以降は夕日を見ていないとのことでした。硫黄岳山荘には初めて泊まるのですが、今シーズンに合わせて客室を改装したとのことでいた。夜になると雨こそ降らなかったものの稲妻が光り雷鳴も聞こえました。
佐久方面から登る朝日を撮影しました。同時に横岳には月が沈みました。早朝は晴れていましたが、山荘を出発する頃にはガスが湧き始めました。稜線に出ると諏訪方面からの強風を受けました。硫黄岳山頂を目指しましたが、1つ先のケルンもガスで見えません。硫黄岳を下り始めると晴れて来ました。下り初めは少し険しいですが後は単純に下るだけです。赤岩の頭を過ぎると直ぐに森林限界となり、森の中を赤岳鉱泉まで下りました。赤岳鉱泉で缶ビールを飲んで喉を湿らせ、半袖シャツに着替えました。柳川北沢を何度も橋を渡りながら下ります。堰堤広場からは林道歩きとなりましたが、暑さとの戦いとなり歩いても歩いてもなかなか美濃戸に着きません。ようやく辿り着いた美濃戸山荘は休業中でがっかりです。冷たい水だけ飲んで、更に林道を美濃戸口まで歩きました。やっと着いた美濃戸口の八ヶ岳山荘の自販機で缶ビールを買おうとしたら硬貨が戻ります。仕方ないので食べたくもない一番安い山菜蕎麦を注文して新たに硬貨を用意したのですが、また返却されます。店の人に聞いたら同一硬貨は5枚以上使えない機種だとは。そんな注意事項は自販機の何処にも書いてありません。缶ビールを飲んで山菜蕎麦を食べましたが、具も麺も駅蕎麦と変わらないレベルで割高な蕎麦でした。タクシーで茅野駅に出て、早い時間帯のあずさ号に乗車変更して家路につきました。
尾瀬 (2024年5月10日〜5月11日)
温暖化の影響で昨年5月の尾瀬はミズバショウが遅霜ですっかり痛んで悲惨な状態だったので今年は連休明けに出掛けることにしました。尾瀬の小屋は何処も5月20日頃からでないと開いていません。東電系の小屋だけは開いているのですが、東電小屋と尾瀬沼山荘は20日頃まで満室マークになっていたので至仏山荘を予約しました。
寒気が流れ込み、早朝に家を出た時は5月なのに吐く息が白い程です。高崎で乗り換えた上越線の列車には暖房が入っていました。沼田発戸倉行きのバスを終点で降りた乗客は私を含めて3名だけです。いつもは鳩待峠行きの臨時の乗合タクシーがあるのですが客が少ないので暫く待たされましたが4名だけで出発しました。鳩待峠から山ノ鼻に下る木道の脇には残雪が結構残っています。山ノ鼻が近づくとミズバショウが現れましたが開花間もないようで、花数はまだ少なかったです。
至仏山荘のチェックイン時間前なのでヨッピ橋と竜宮小屋を経由して尾瀬ヶ原を一巡りすることにしました。山ノ鼻周辺にはミズバショウが咲いていたが、湿原に入るとミズバショウは全く見られなくなりました。池塘にはヒツジグサの葉茎も出ていません。今年も暖冬ですが、季節の進み方は昨年よりは遅いようです。冬期の積雪量がかなり少なかったようで、燧ヶ岳も至仏山も5月中旬なのに残雪が非常に少ないです。逆さ燧の池塘も風があるので逆さ燧も見られません。数人とすれ違いましたが、人が殆どいない枯れ草ばかりの湿原を歩きます。分岐場所の牛首の標識は、何故か東電小屋方面を示す標識板が外されていましたが、ヨッピ橋に向かいます。ここから先は樹林もあるので熊除けの鈴を鳴らします。東電下の大堀橋に着くと橋の踏板が外されて通行出来ません。この先のヨッピ橋も同様とのことです。ここまで来て東電小屋が満室ではなく、営業前だということに気付きました。おそらく、只見川に架かる東電尾瀬橋も同様に通行出来ないので小屋開けが出来ないのです。Webの予約表が満室の✕印になっていたのは満室ではなく、営業していないという意味だったと始めて気付きました。牛首に戻ったら橋が通行出来ないという小さな標識に気付きました。また東電小屋を示す標識板が外されている理由もやっと判りました。仕方ないので山ノ鼻に戻ることしました。至仏山荘でチュックインして話を聞いたら、尾瀬では一昨日は雪で今朝は霜が降りたとのことです。この霜で現在咲いているミズバショウは数日で枯れてしまい、その次ぎに咲くミズバショウが5月末頃に見頃になるとのことでした。雪が少ないので至仏山に登れるか聞いたら、例年山開きは7月1月で今年は雪が少ないので6月22日に早まる予定とのことでした。確か41年前は6月に至仏山に登れたのですが、今は環境保護の為に5月の連休の後は7月1日まで入山禁止になっているとのことでした。また、帰りに三平峠を越えて大清水に出ようとしたのですが、三平峠の尾瀬側はまだ登山道がアイスバーン状態なのでチェーンスパイクが無いと難しいし、途中の白砂峠も雪が深いとのことでした。これでは明日は諦めて早く退散するしかなさそうです。することがないので研究見本園を一巡りするが何も咲いていません。ようやくリュウキンカを1株見掛けました。また、山ノ鼻の公衆トイレ付近でキクザキイチゲを見掛けました。相部屋を予約したのですが、6人部屋に2人だけで、その方も夕食を食べたら居なくなってしまいました。6時半には布団の上にシュラフを敷いて寝てしまいました。
4時には起きました。今朝も霜が降りて寒い朝です。4時半過ぎに小屋を出て尾瀬ヶ原に行きました。朝霧が出始めていました。朝日が昇るに連れて霧が湧き出して来ます。燧ヶ岳を背景に逆光の中に湧き上がる霧を撮影しました。小屋の方に聞いたら相部屋の方は別の小屋の管理人で夕食後は、そちらの小屋に行ったとのことでした。昨晩の宿泊客は9人でした。朝食を食べたら始発の連絡バスに間に合えば良いので、ゆっくりと鳩待峠を目指します。鳩待峠まで来るともう暑くなりました。連絡バスは定期便なのでマイクロバスですが乗客は私だけです。沼田・戸倉間のバス代と鳩待峠の連絡バス代は、夫々300円値上がりしました。また缶ビールも値上がりしました。
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