2013年
この年の10月に、ついに定年を迎えました。定年前なので少しは有給休暇が取れるかと思ったのですが、そうはゆきません。しかもこの年は、マンションの管理組合の理事になったので、休日には管理組合の仕事も入ってきます。更には義母の介護などで休日に山に行くことは、儘なりませんでした。
そんな僅かな休日を利用して計画した春の夕張岳は、直前になって林道が土砂崩れで通行止めになったという連絡があり、中止せざるを得ませんでした。代わりに八ヶ岳にヤマネを見に行きました。今シーズンの最後は南アルプスでと思ったのですが、台風の直撃を受け、これも尾瀬に変更しました。
花の写真方は成果なしで、新規の花は無しという寂しい年になりました。
尾瀬 (2013年9月17日)
9月の連休には休暇を付けて南アルプスに登るつもりでしたが、台風18号の直撃を受けてしまいました。台風が去ったので、日帰りが出来る尾瀬に行きました。
台風が過ぎ去り、北からの冷たい風が吹き込んだおかげで涼しい朝です。4時35分に家を出て、最寄り駅から始発電車に乗りました。新幹線は大宮までガラ空きです。熊谷では台風による竜巻で大きな被害が出たとのことですが、車窓から見る限り駅周辺では特に被害は見えませんでした。稲も色付いています。高崎から乗り継いだ上越線の列車の沼田着が遅れ、バスになんとか乗れましたが高校生で一杯です。でも尾瀬まで行く人は僅か4名です。群馬県は台風の直撃を受けた割には、水田やリンゴの被害は少なそうですが、途中の川は増水していますし、枝が折れた木も見受けられました。
鳩待峠は台風一過の快晴です。尾瀬に下る木道は乾き始めていましたが、水分を含んで滑り易いので慎重に歩きます。平日の尾瀬は人影もまばらで閑古鳥が鳴いていました。木々や草が少し紅葉し始めたばかりです。花も端境期でヤマトリカブトとエゾリンドウが盛りなくらいです。まだヒツジグサが所々に咲いていました。オゼコウホネも木道からかなり遠くの池塘に咲いていました。撮影するものがないので、1時間余りで竜宮小屋に着いてしまいました。沼尻川を渡って福島県にも足を踏み入れました。竜宮小屋からヨッピ橋、牛首経由で山の鼻に戻りました。山の鼻では、ヘリによる建築資材の搬入中で、何度もヘリが飛んで来るのですが、その度に登山道は通行止めになりました。鳩待峠には45分で着いてしまいました。僅か5時間の尾瀬滞在でした。
八ヶ岳 (2013年6月23日〜6月24日)
季節外れの台風4号が接近していたので迷っていたのですが、消滅したので1日待って出発しました。一泊だけなので、出発直前になって炊事道具を置いて行くことにしました。新幹線はガラ空きでした。これでは前日でも「トクだ値」が残っているわけです。佐久平駅で小海線に乗り換えると登山客が沢山います。会話から小海まで行くようです。小海駅ではタクシー確保の為、急いで一番に改札を出ました。駅前には2台のタクシーしかないのですが、暫く待っても後から人が出て来ません。運転手の話だとバスで稲子湯に行く人が多いのだそうです。相乗りの相手は現れず一人で本沢入口までタクシーに乗りました。
雲は多いのですが晴れています。本沢温泉までは整備された単調な道を登ります。本沢温泉近くになってクリンソウの群落を見掛けましたがまだ蕾の状態です。本沢温泉で山びこ荘の状況を聞くと空いているようです。炊事道具を置いてきたので、代わりに重量調整用に2Lの水を水筒に詰め込みました。ペットボトル4本の水も含めると4kgの水を背負います。本沢温泉からは、ようやく登山道らしくなった山道を予定通り1時間で山びこ荘に到着しました。お客はいません。1週間前に電話した時には空いているということでしたので、直前には連絡して来なかったのですが、今日は予約客が2人いるので開いているのですが、この季節はお客がいないと閉めているとのことでした。小屋に着いたら雲行きが怪しくなって来ました。小屋は外壁の改修をしたとのことで、7年前とは外観が違っていました。前回は夕方の7時頃からモモンガがやって来たのですが、今は夜明けに来るとのことです。窓の外の餌場にはウソがやってきました。することがないので、根石岳の方に散歩に行きましたが、林の下にコイワカガミが咲いている程度です。空が暗くなってきたので急いで引き返しました。小屋に戻って一眠りしている間に雨になりました。相変わらずウソしかやって来ません。夕食の頃になって雨は上がりました。夏至を過ぎたばかりなので、なかなか外が暗くなりません。今日のお客は予約した夫婦二人と合計四人です。食事を済ませてゴロゴロしていると、ようやく夜の8時頃になってヤマネがやって来ました。2匹来ましたが、1匹は物怖じしないタイプで小屋の本棚の上に置かれたヒマワリの種を平気で囓っているし、人が近づいてもストロボを焚いても驚きません。もう一匹は、一度だけ小屋の隙間から入って来ましたが、近づくと逃げてしまいました。
夜の間に雨が激しく降りました。お客は2階に寝るのですが、明け方の3時頃に小屋の壁の外でガサゴソ音がします。小屋の外壁と内壁の間に住みついたモモンガかもしれません。4時頃に管理人さんの「モモンガが出たよ。」という声で1階に降りました。窓の外の餌台でモモンガがヒマワリの種を囓っています。ライトやストロボの光にも動じないのですが、ガラス窓越しなのでライトの反射光や近くにいる人物が写ってしまいます。2匹やってきて、一度だけ小屋の中にも入ってきたのですが、直ぐに出ていってしまいました。7年前は夕方じっくり現れてくれたし、7月下旬の夕方だったので窓も開いていたので撮影条件としては良かったです。この時に見たモモンガ の孫か曾孫の世代なのかもしれません。朝は曇りでガスが沸いており、ガス越しに御来光を見ました。明るくなってもまだモモンガが時折餌台にやって来きます。ウソは8羽も来ましたが、モモンガがいると近づけないでいます。ニホンリスもやって来ました。
5時半に朝食です。今日も不安定な天気で、いつ雷や俄雨になってもおかしくない天気です。硫黄岳に向けて歩き出します。暫くして森林限界を超えると時々ガスの切れ目に昨夜泊まった山びこ荘やオーレン小屋が見えます。この季節はイワウメが目立ちます。ここでもコイワカガミが眼に付きます。硫黄岳山頂で、ちょっとだけ南八ヶ岳の稜線が見えました。鞍部の硫黄小屋に着いた頃には天気は悪くなりました。小屋の周辺にはウルップソウの群落がある筈なのですが、殆ど見掛けません。花があるのは3株で、独特の広い葉を出した株も数株程度しかありません。1株だけ形の良い株があったのですが、立ち入り禁止区域の中で20mも距離があったので、遠すぎてズームレンズの望遠側でも点にしか写りません。花期は今頃の筈なので、何らかの理由で激減したのでしょうか。お腹の具合がイマイチなので、念の為、硫黄小屋のトイレを借りたのですが、ウォシュレットになっていました。2003年に環境対応型のトイレになっていたのに驚いたのですが、また進化したようです。天気が下り坂なので、どうしようかと悩んだのですが横岳を目指します。10分位進むが急にガスが濃くなってきました。自宅に電話したら、自宅周辺は雨で、北関東には洪水注意報が出ているとのことです。梅雨前線は南に下がっている筈なのですが、北からの冷たい空気が入り込んで山間部の天気は不安定のようです。この先のツクモグサは、どうせ花期が終わっているのだろうし、悪天候の中で横岳の鎖場や梯子場を通過するのも辛いので、諦めて硫黄岳に戻り下山することにしました。下り始めると雲が切れたりするのですが、基本的に不安定な天気で直ぐにガスが覆って来ます。赤岳鉱泉まで下り、先ずは缶ビールを飲みました。ここからは、硫黄岳から赤岳の主稜線に大同心や小同心の岩稜が見えるのですが、悪天候で何も見えません。しかも小屋が増築中で視界が結構遮られるようになりました。晴れていたら、逆にガッカリしたのかもしれません。
登山日記の先頭に戻る
トップページに戻る