2006年

 新聞に掲載された山をバックに咲き誇るサクラソウの群落の写真を見て、妻が行ってみたいと言ったのが火打山でした。宿を予約し、直前の足慣らしに尾瀬を歩くことにしていました。ところが、直前になって妙高の宿よりこの年の大雪で建物が壊れて営業出来ないという連絡がありました。火打山は諦めましたが、尾瀬には予定通り行きました。
早池峰山麓の大迫町のホームページには、高山植物監視員の方が撮影された早池峰山の高山植物の写真が載っているので時々見に行くのですが、この年の1月に突如消えてしまいました。花巻市に合併した為のようです。 急に早池峰の花が見たくなり登ってきました。
何故か急にモモンガが見たくなり八ヶ岳の夏沢峠に登ってきました。
夕張岳のページは、1回登っただけで作ってしまったので、早い機会に秋の花も載せたかったので、思い切ってこの年登ってきました。
夕張岳 (2006年8月11日)

 夕張岳のページは一回登っただけで作ってしまいました。花数が少ないので、早い機会に秋の花も載せたかったので、思い切ってこの年も登ることにしました。夕張岳に向かう前日は、台風7号の接近で雨の一日でした。台風の速度が遅く翌日まで関東に居座るという予報でしたが、これが見事に外れて台風はその日のうちに房総沖に抜けました。昨日までの悪天候がウソのように晴れました。北海道の方が雲が多く、千歳は曇りです。2年前と同じ1両だけのキハ40で夕張に向かいました。石勝線の信号所での長い待合せは相変わらずです。でも、これがいいのです。2年前は観光客も乗っていたのですが、今日は地元の方だけです。夕張市は財政破綻し財政再建団体になったせいか、街は更に寂れて歩いている人を殆ど見かけません。2年前と同じホテルに泊まったのですが、ホテル内のレストランは1箇所だけになり、お客は誰もいません。宿泊客も合宿に来た高校生の集団か中国や韓国からの団体客ばかりで一般客を殆ど見かけません。それでも夕張駅前にはコンビニが出来ていました。
 天気予報では北海道には寒気が流れ込み、雲が多いとのことです。多分山では多少降られるかもしれません。予約したタクシーで夕張岳に向かいます。現在の大夕張ダムよりも巨大な夕張シューパロダムが建設され、巨大化するダム湖に現在の国道が沈むということで立派な代替道路の橋脚やトンネルが出来ていました。又、国道から分岐して夕張岳に向かう林道も水没するので、林道に沿って代替道路の橋脚も出来ていました。帰ってから調べたら現在のダム湖の5倍もの貯水量のダム湖になるとのことです。財政再建団体になった夕張市や今の北海道の経済を考えれば新しいダムが本当に必要なのでしょうか。夕張岳の近くに巨大なダム湖が出来ることで生態系に影響しないのか心配になりました。
 林道終点の駐車場には自家用車が3台しか停まっていません。近くに巣でもあるのかスズメバチの大群が舞っています。天気は曇りで山にはガスがかかっています。タクシーを降りると早速スズメバチがやって来ました。急いで登山届けを書きましたが、今日初めての記帳です。ハチに追われるように登り始めました。少し歩けば引き返すかと思ったのですが、いつまでもスズメバチは追いかけて来ます。追いかけてくるのは2匹ですが、追い払っても逃げないし、逆に襲われるようなこともありません。根負けして一緒にお伴してもらうことにしましたが気持ちの良いものではありません。途中で雨がパラつき始めました。この雨でスズメバチも退散するかと思ったら雨は直ぐに止んでしまいました。昨晩も降ったらしく下草が濡れているので、合羽のズボンだけ着用します。スズメバチは歩き始めて2時間経った憩沢付近でやっといなくなりましたが、この付近からは森林限界を超えた高山帯です。ガスが深くなりましたが雨にはなりませんでした。殆どの花が終わっていて蛇紋岩崩壊地は寂しい風景です。吹き通しに来ると今回の目当てのユウパリリンドウが沢山生えていました。花期には少し早かったようで、殆どが蕾で咲いているのは、ほんの一部だけです。残念ながらこの天気なので折角開いた花も閉じています。ユウパリミセバヤは早過ぎたのか全く見かけません。目立つのは盛りを過ぎたユキバヒゴタイと枯れ花状態のユウバリソウです。山頂に着く頃から雨になりました。だあれもいない山頂なので標識だけを写して下山します。もう一度、吹き通しでユウパリリンドウをカメラのレンズを拭きながら撮影しました。雨が降っているのでカメラを仕舞って単純に下るだけです。憩沢まで下ると雨は上がりました。望展台に近くなると再びスズメバチがお出迎えです。下山するまでにすれ違った登山者は僅かに8名で、スズメバチさえいなければ静かな山旅でした。
 タクシーを予約した時間にはまだ2時間もあるので夕張ヒユッテに寄り、2年前にお世話になった管理人さんに挨拶をし、小屋の中で休ませてもらいました。昨年は林道が土砂崩れで不通となり登山者数は激減したとのことです。そのせいか、ユウパリコザクラの植生も少し回復したとのことで、これは少し嬉しい話しですが、盗掘者が来られなくなったのが原因というのでは寂しく感じました。又、夕張市教育委員会が管理するこのヒュッテの運営にも市の財政破綻の影響が出るだろうとのことでした。この年は尾瀬や早池峰山など団体ツアー登山客に席捲された山に行ったせいか静かな山旅が一番だと思いました。尤も水没する林道の代替道路の立派な橋脚を見ると観光バスも通れそうな道路が出来そうで、札幌に近いだけに狂気の団体ツアー登山客の餌食になるのが心配です。ヒュッテを出ると、まだスズメバチが待ち構えていました。結局迎車予約したタクシーに乗るまでつき纏われました。
八ヶ岳 (2006年7月29日〜7月30日)

 この年は梅雨が長く一向に明けてくれません。本来ならば先週末に登る予定を連日の雨で1週間ずらしての山行です。それでも梅雨は明けず週間予報では長野県の天気は良くなさそうです。小海駅に降りるとタクシーを待っている先客が居たので、相乗りをお願いしました。5月に発生した崖崩れの影響でタクシーは迂回路を通って本沢温泉入口に着きました。
 歩き始めて暫くすると雨が降り出しました。たいした降りではないのですが雨具に身を固めました。雨は1時間ほどであがりました。本沢温泉までの道は本沢ゲートの先までは車が通れると地図にも書いてありましたが、最後まで4WDが通れそうな位に整備されており単調でつまらないだけです。一旦上がった雨も本沢温泉を出る頃には再び降り出しました。道もようやく山道らしくなりました。雨合羽を着ての登りは蒸し暑くペースは上がりません。夏沢峠近くになって再び雨があがりました。このコースは峠近くでようやくゴゼンタチバナが見られる程度で、花は殆ど咲いていません。夏沢峠の山びこ荘はモモンガとヤマネが来ることで有名な山小屋です。夜にならなければ来ないと思っていたら、小屋に着いてほっと一息し、外で缶ビールを飲んでいる間にもうモモンガがやって来たということです。夜の7時前にはモモンガ (Click here!)が3匹やって来ました。小屋の中や外にはヒマワリの種がたくさん置いてあり、餌目当てに来るようです。モモンガは非常に人慣れしており、近づいてもストロボを焚いても全く驚きません。おかげで良い写真が撮れたのですが、野生が失われているようで少し残念です。ヤマネは人が寝静まらないと現れないということで、こちらの方がまだ野生が残っているようです。ヒメネズミやリスもやって来るとのことでした。長雨が続いたせいか、小屋の蒲団はじめじめして湿っぽいので、蒲団の上に持参したシュラフを敷いて、くるまって寝ました。夜になって小屋の梁の上を何かの動物が走り廻ったり、物を囓る音がしました。ヤマネかリスでもやって来たのかもしれませんが、灯りをつける訳にもゆきません。動物が去ったら、雨が小屋の屋根を叩く音がしました。
 雨は朝にはあがり、御来光を拝みました。小屋の主人によれば、長雨続きで御来光は久し振りとのことです。食事を済ませ、硫黄岳を目指して出発しました。山頂に着く頃からガスが深くなりケルンがようやく見える程度です。硫黄岳の登りは高山植物の数は少ないのですが硫黄岳山荘が近づくと高山植物が増え出しました。コマクサが目立ちますが先週の長雨で花はすっかり痛んでいます。硫黄岳山荘の花壇も多くの花が花期を終えたか長雨で痛んで枯れ花状態です。チシマギキョウやタカネツメクサが盛りなくらいです。年を取ったせいなのか、3年と比べて横岳の鎖場の通過が随分難儀に感じました。天気は晴れたり曇ったりで、長野側から弱い風が吹いているだけなので、山梨側の稜線の下に出ると風がなく結構暑かったです。横岳から赤岳にかけても高山植物は終わりで、これから咲くミヤマオトコヨモギが目立つ程度です。赤岳頂上小屋で飲んだ生ビールの美味しかったこと。文三郎登山道を下り、行者小屋で再び生ビールを飲みながらの昼食です。八ヶ岳にも生ビールを売る小屋が増えました。行者小屋からは柳沢南沢に沿って下ります。このコースは途中から道が判り難い箇所があります。3年前もちょっと迷いましたが、今回も道を誤り、10分ほど時間を無駄にしました。森の中を谷に沿って歩くだけなので単調でつまらないです。喉がやけに渇いて水ばかり飲みました。美濃戸山荘で缶ビールを飲んで、暑い中を更に美濃戸口まで歩きました。長かったこの年の梅雨も中部・関東・甲信地区でようやくこの日に明けました。
早池峰山 (2006年7月8日)

 早池峰山麓の大迫町のホームページには、高山植物監視員の方が撮影された早池峰山の高山植物の写真が載っているので時々見に行くのですが、この年の1月に突如消えてしまいました。どうやら昨今の市町村合併で花巻市に合併したらしいのです。花巻市のホームページの観光関連のコンテンツは宮沢賢治一色で、早池峰の花など載っていません。急に早池峰の花が見たくなりました。駄目とは思いつつも運が良ければトチナイソウに会えるかもしれないという期待も込めて6年ぶりに行ってみることにしました。
 そんな訳でトチナイソウの花期の7月上旬狙いで行くことにしたのですが、峰南荘に電話すると土曜日は一杯とのことなので、休暇を取って金曜日に行きました。宿を予約してから、交通機関を調べると昨年まではシーズン中は毎日運行されていた新花巻から河原の坊行きのバスは土曜・日曜のみの運行になっているし、路線バスを乗り継ぐにしても、盛岡からも石鳥谷からでも不便なダイヤになっています。仕方ないので、大迫バスターミナルからタクシーに乗りました。合併して新しくなった花巻市の市議会議員選挙が近いようで、小さな集落には不釣り合いな程大きな選挙ポスター掲示板(48名分もある)があちこちに立てられていました。峰南荘には毎回一人で泊まるので、いつもは端の四畳半の部屋なのですが、今回は六畳部屋に通されました。明日は団体客の予約はあるとのことですが、今日の宿泊客は僅か二組・3名だけだとか。
 翌朝、屋外の人声で目を覚ましました。峰南荘の前は広い駐車場で、バスで来た団体客は此処でシャトルバスに乗り換えるのですが、どうやら観光バスが到着したらしいのです。急いで朝食のおにぎりを食べ、出かける準備をして外に出ました。大型の観光バスが2台停まっていて多数の団体ツアー登山客がいます。峰南荘前からシャトルバスに乗るのを止め、急いで岳の集落のバス停まで下ってシャトルバスを待ったのですが、3台も来たので無用な心配をしただけでした。天気は曇りです。河原の坊からコメガモリ沢を登りました。ここ一週間ほど雨が多かったので、川が増水していて川の石に足を滑らせ登山靴を水没させてしまいましたが、こんな失敗は初めての体験です。ハヤチネウスユキソウの最盛期には少し早い時期ですが、相当数咲いています。ナンブイヌナズナはやや盛りを過ぎていました。ヒメコザクラの枯れ花を2株見つけましたが、トチナイソウは予想していた通り全く見ることは出来ませんでした。ナンブトラノオはようやく咲き始めの株が見つかる程度です。山頂に着く頃、多少晴れ間が出たのですが、直ぐに曇り出しました。山頂の雪田跡のコバイケソウは芽を出したばかりです。小田越ルートの方が登り易いので小田越ルートに入ると団体ツアー登山客ばかりです。小田越ルート上部の梯子場は、運悪く上りと下りの団体客がぶつかって大混乱で、一般登山者は待ちぼうけです。暫く待ってようやく梯子場を通過しました。早池峰山は昔から花の山として有名でしたが、これほど多くの登山者はいませんでしたし、団体で登っているのも精々地元の小中学生だけでした。いつの間にか中高年に人気の山として団体ツアー登山のメッカとなってしまったようです。 小さな山にこれほど多くのマナーの悪い団体ツアー登山客が押し寄せると一般登山者が迷惑なだけではなく、大量の登山者の滞留が発生すると登山道から踏み外れる者が現れ、登山道が広がるなどの環境破壊が進んでしまいます。昔に比べれば、小田越ルートの登山道は随分広がったような気がします。観光バスでやってきて山に登ってそのまま帰ってしまう団体ツアー登山客は地元経済も潤しません。97年版の昭文社の早池峰山の地図には、岳集落に8軒の民宿が掲載されていますが、現在営業しているのは3軒だけです。早池峰登山の賑わいとは逆に地元経済は衰退しているようです。市町村合併でもしないと生き延びてゆけないのかもしれませんが、寂しい限りです。
 小田越に下り、シャトルバスの時間まで薬師岳の登山道に少し入りましたが、この年は雪が多くて成長が遅れているのかオサバグサも葉が出たばかりです。峰南荘に寄り、風呂に入って汗を流し、ラーメンを食べて帰路につきました。
尾瀬 (2006年6月10日)

 朝からの大雨で、この日に関東地方と東北南部が梅雨入りしたのですが、夕方には雨はあがりました。民鉄唯一の夜行列車の「尾瀬夜行23:55」の車両は古い「りょうもう号」で、非リクライニングシートです。通路側を予約しておいたのですが、やはり狭い。窓側に座っていた人は、耐えられないと思ったのか発車前に空いている席に移ってしまいました。尾瀬夜行は今日が今シーズンの初運行で、乗車率は結構高いのですが、まだ多少空席がありました。翌日の0:35に春日部を発車すると鬼怒川温泉まで止まらないので、隣の人は「別の席に移る」と言って荷物も持っていってしまいました。おかげで、座席に横になって寝転がることが出来きました。列車は会津高原尾瀬口駅に3:18に着くのですが、バスの発車時間までは車内で仮眠することが出来ます。会津では直前まで雨が降っていたらしいのですが連絡バスが出発する頃にはあがりました。この年の冬は積雪が多かったので、沼山峠は残雪でいっぱいです。
 木道は殆どが雪に埋もれていました。バスから一斉に降りた団体客が足を滑らせながらのろのろ歩くので、沼山峠は大渋滞です。ようやく大江湿原に入ると木道の雪は消えて歩き易くなりました。ミズバショウの季節には少し早かったようで枯れ草の湿原にミズバショウが所々に咲いている状態です。枯れ草の中でピンクのショウジョウバカマがやけに目立ちます。昨日の大雨が嘘のように燧ヶ岳が良く見えました。沼尻までの道は林の中なので残雪が多いです。沼尻に着く頃から曇り出しました。白砂峠を越えて尾瀬沼を目指します。ここは残雪どころか木道が完全に埋もれた雪道で、踏み跡を伝って歩きました。峠は雪で埋もれて標識も見えません。段小屋坂を下り、見晴が近くなると雪も少なくなり木道が現れました。木道は雪解け水で泥を被って滑り易くなっており、雪道では一度も転ばなかったのに雪の無い木道の上で2回も立て続けに転びました。転んだ先にキクザキイチゲが咲いているのを見つけ、レンズの泥を落として撮影しました。
見晴でひと休みです。曇ってはいますが残雪の至仏山が良く見えました。尾瀬沼を暫く歩くと木道脇にザゼンソウを見つけました。尾瀬のザゼンソウの花期は本来だともう少し早いのですが、この年は残雪が多いせいかミズバショウと一緒に見ることが出来ました。しかしながらザゼンソウを見かけたのは一箇所だけで、広い尾瀬でも個体数は少ないようです。竜宮小屋の手前で群馬県に入りました。竜宮小屋からはリュウキンカの群落が目につくようになりました。カレンダーなどでも良く見かける至仏山のビューポイント(下ノ大堀川)で写真を撮りました。山ノ鼻に近い湿原の方がミズバショウは多いようです。この年は雪が多かったせいで、ミズバショウやリュウキンカには少し早かった感じです。花が咲いているミツガシワは1株しか見かけませんでしたし、タテヤマリンドウも少ししか咲いていませんでした。ヒメシャクナゲは全く花をつけていないなど見掛けた花の種類は少なかったです。
 鳩待峠に着いたらビールでもと思っていたのですが、丁度戸倉に行く乗合タクシーによる連絡バス臨時便が出るとことで急いでワゴン車に乗り込み、尾瀬を後にしました。

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