2005年
昨年と違って、この年の休日は、山に行ける自由度がある年です。
早速6月末の八ヶ岳から登ろうと思っていたのですが、天候不順で断念しました。それでも7月中旬から8月中旬にかけて3つ登ったので例年通りの夏になりました。
但し、登ってはみたものの大雪山の初日以外はお天気にはあまり恵まれませんでした。
北岳 (2005年8月16日〜8月18日)
昨年の大荒れ天気のリベンジという訳でもないのですが、天気の回復を待っていたら昨年と全く同じ日程になってしまいました。少し早起きすれば普通列車でも特急と大差ない時間に甲府に着きますので、今回は普通列車を乗り継いで甲府に向かいました。昨年から中央線は韮崎駅までSuicaが設置され、南アルプスは首都圏からSuicaで行ける山になりました。天気は思わしくなく、途中の八王子や笹子付近では激しい雨に遭いました。甲府では日も射したのですが、広河原に向かうバスは途中で俄雨に遭いました。夜叉神〜広河原間の大崩落による道路工事はこの年も継続中で通行時間を規制していましたが、昨年ほどではありません。
広河原では晴れていましたが、雲が多く天気はこれから下り坂です。昨年とほぼ同じペースで白根御池小屋に到着しました。昨年から再建工事が始まった小屋はかなり出来上がっており、10月迄には完成し、来シーズからは新しい小屋で営業するとのことです。小屋に到着した時までもっていた天気も2時過ぎから雨が降り出し、やがて雷雨となりました。雷はそれほどでもないのですが、雨は夕方にかけてかなり激しく降りました。
夜中も降ったらしいのですが、朝までにはあがり曇りです。濃いガスが谷から山頂に向かって流れて行き、好天は望めそうにありません。それでも昨年に比べれば恵まれています。草すべりを登り、森林限界に出ました。ここからは、一気に高山植物が増え出します。昨年は花暦が例年より1〜2週間早い感じでしたが、この年は平年並みです。稜線に出るとガスが濃くなりました。トウヤクリンドウ、コバノコゴメグサ、タカネヒゴタイが盛りです。写真を撮りながら北岳山頂を目指します。北岳山頂ではガスで全く眺望が効きませんでした。記念写真を1枚撮ってもらい下山を始めました。タカネマンテマはたった2株見かけただけです。ムカゴユキノシタは既に花期を終えていました。東南斜面に出るとイブキジャコウソウ、タカネコウリンカ、キタダケトリカブト、キタダケヨモギ、タカネナデシコ、ミヤマアキノキリンソウなどが盛りですが、お花畑の主役はここでもトウヤクリンドウです。この時期はチシマギキョウが沢山咲いている筈なのですが、この年はやけに目立ちません。個体数は結構あるのですが、数輪の花をつけた小株が多く、大株が殆ど見あたりません。例年だと20〜30位花をつけた大株が岩の割れ目などに咲き誇っているのですが、チシマギキョウだけは花期がずれたのかもしれません。花の写真を撮りながら東南斜面を下り、巻き道を通り、いつもの倍くらいの時間を掛けて北岳山荘に到着しました。山荘の自炊場で昼食を作り食事を済ませて外に出ると、もうガスの中に雨粒が混じっていました。暫くすると雨が収まったので、合羽だけを持って中白峰方面や稜線の道を北岳方面に写真を撮りに出かけました。
昨年まではシュラフ持参者は「北岳」という一番広い部屋だったのですが、この年からは「仙丈岳」という2階の小部屋に変更されました。尤もシュラフ持参者がたったの3人だけでは充分広いです。その中の一人が非常識にもラジオをかけっぱなしで寝てしまったので、煩くてなかなか寝付けられませんでした。夜遅くになってようやく気付いたらしいのですが、今度は激しい鼾に悩まされました。夜が更ける頃、今夜も雷雨になりました。
翌朝はガスが濃くて御来光は拝めませんでした。風はありますが寒くはありません。花の写真を撮りながら巻き道を経由して八本歯のコルを目指します。時々雲が切れて日が射すのですが、間ノ岳や農鳥岳などには雲がかかったままです。大樺沢に降りると晴れてきたのですが、暑いだけで有り難迷惑です。大樺沢の雪渓はこの時期にしては残っているほうです。広河原山荘まで一気に下り、生ビールを飲んでこの年の山旅も終了しました。
登山の話とは関係ありませんが、南アルプスの各山小屋の衛星電話は昨年まではテレホンカード式だったのですが、この年からクレジットカード式に切り替わっていました。又、北岳山荘でもこの年から生ビールが販売されるようになりました。
尾瀬 (2005年8月5日)
尾瀬には14年もご無沙汰しています。1週間位前にテレビでニッコウキスゲの中継を見て、急に行ってみる気になりました。横浜から横須賀線の始発電車に乗り、新幹線経由で沼田に行きました。尾瀬に行くには少し遅い沼田駅を8:05に出る大清水行きのバスに乗ったのは8名ほどで、リュックを持っているのは二人だけです。その一人も鳩待峠バス連絡所で降りました。鳩待峠行きのバスを待っている人もせいぜい4,5人ほどです。たった一人の乗客を乗せてバスは大清水に到着しました。降り際に運転手さんに聞いたら、ニッコウキスゲが終わるとこんなものだとか。駐車場に停まっている自家用車も数える程です。
非常に暑い一日で、汗びっしょりになって三平峠を目指します。14年前はもっと自然な道だったような気がするのですが、今では殆どが木道になり、階段ばかりでかえって歩き難いです。尾瀬沼の周辺は、コバギボウシ、コオニユリ、オタカラコウが盛りです。1週間前に盛りだったニッコウキスゲは既に実の季節で、湿原のあちらこちらに残り花がポツンポツンと咲いているだけです。湿原ですれ違う人も少なく静かな尾瀬です。晴れてはいるのですが、雲行きは怪しく、雷雨になりそうな雰囲気です。尾瀬沼を一周して大清水に戻るのを止めて、大江湿原をのんびり歩いて沼山峠に出ました。22年前に来たときは沼山峠はもっと歩いたような気がしたのですが、あっけなくバス停に到着しました。バスで会津高原駅に出て、野岩鉄道・東武鉄道直通の快速電車で帰路につきました。
大雪山 (2005年7月22日〜7月23日)
2002年の夏、妻は初めて大雪山で蕾の状態のコマクサを見ました。大分感動したようで、その後もコマクサを見たいと言います。妻が登れる山ということで、翌年秋田駒ヶ岳に言ったのですが、北海道のコマクサに比べて本州のコマクサは色が薄いので不満が残りました。そこで、大雪山系でも比較的簡単に登れる赤岳に登ることとしました。
層雲峡から銀泉台行きのバスに乗ったのは6名ほどです。シーズンだというのに銀泉台ヒュッテの宿泊客は少ないようです。1月に予約した時は一杯のようなことを言っていたのですが、団体客が直前にキャンセルしたとのことで6人分のスペースを二人で使わせてもらいました。ヒュッテの建物はかなり老朽化しているとのことで、来年には取り壊すかもしれないということが話題になりました。夜になると石油ストーブに火が入りました。消灯時間を過ぎても石油ランプが灯っています。
前の晩にヒュッテで用意してもらったおにぎりで朝食を済ませ、雲海に登る御来光を撮りました。ヒュッテの管理人さんの話だと、このところ天気が悪くて、1週間ぶりの御来光とのことです。良い天気に恵まれ、赤岳山頂を目指しました。この年は残雪が多いとのことで、登り始めて直ぐに雪渓が現れました。第一花園は深い雪の下です。森林限界を終えると雪渓の廻りにはキバナシャクナゲ、ジムカデやエゾコザクラなどが咲いていました。大きな雪渓を横切ってコマクサ平に到着しました。コマクサ平と言うだけのことはあって、沢山のコマクサが咲いています。イワブクロやキバナシオガマも沢山見られました。ここでウスバキチョウらしき蝶を見かけました。写真を撮りながらコマクサ平を横切ったので通過するのに30分もかかりました。上部の大きな雪渓を渡り、赤岳まで登りきりました。山頂で少し休み、小泉岳分岐方面に少し歩きます。ホソバウルップソウは枯れ花状態ですが、クモマユキノシタ、ヒメイソツツジ、エゾハハコヨモギやチシマキンレイカが多く見られました。赤岳山頂に戻り下山を始めました。帰りもコマクサ平で40分程コマクサ等を撮りました。再びウスバキチョウらしき蝶を見かけました。留まってくれないので確認は出来ませんでしたが、羽の色などから判断してまず間違いないと思います。お昼前にはもうヒュッテに戻りました。
旭川に一泊し、翌日はバスで旭岳温泉に行きました。旭川では晴れていたのですが、旭岳温泉は曇りです。ロープウェイで姿見に登りましたが、もうガスが出て旭岳は見えません。裾合平に向けて歩き始めます。チングルマとエゾノツガザクラが大群落を作っています。ここでも何度も雪渓を渡ります。裾合平は花が多いかと思っていたのですが、それほどでもありませんでした。帰りは途中から雨になりました。霧の中に浮かぶチングルマとエゾノツガザクラの群落が幻想的なのですが、雨でカメラは仕舞っているので残念ながら撮影は出来ませんでした。ロープウェイで旭岳温泉に降りると曇ってはいますが雨は降っていませんでした。折角なのでバスで天人峡に行き、羽衣の滝を見て帰りました。
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