2000年


早池峰山 (2000年8月6日)

 早池峰で、良い写真が撮れていないのがナンブトウウチソウです。早池峰の固有種は殆どが早咲きなので、今までの4回は何れも6月か遅くても7月中旬までに登っていました。今回はナンブトウウチソウ狙いで、8月上旬に登ることにしました。東北地方は大気が不安定で、到着した日は夕方から雹が混じった猛烈な雷雨となりました。文字通りバケツをひっくり返したような降り方でした。
 この大雨で土砂崩れが何ヶ所かで発生しましたが、規模が小さく改修工事も早く終わり、翌朝の第1便のシャトルバスは、なんとか小田越に到着しました。昨日の豪雨でコメガモリ沢の増水が予想されるので、早池峰5回目にして初めて小田越からの逆コースで登ることにしました。
 森林限界(御門口)に出たら、今回の目的のナンブトウウチソウに早速出会いました。蕾の株が殆どで、花期には少し早い感じです。個体数は結構多いのですが、写真になるような株は少なかったです。お盆の頃が良いのかもしれません。ナンブトラノオは花期を過ぎており、こちらも同様写真になるような株はありません。 始めて小田越から登りましたが楽なこと。ハクサンシャジンやヒメシャジンが多く、秋の山の気配を強く感じました。ハヤチネウスユキソウは、枯れ花状態でした。 昨年標識を整備したらしく、真新しい標識が幾つか立っていました。山頂で一休みし、コメガモリ沢を下りました。こちらのコースにはナンブトウウチソウやナンブトラノオは比較的少なく、その替わりミヤマアケボノソウが目立ちました。これからが花期でまだ蕾が多いのですが、一部は開花し始めていました。
 大気が不安定で、積乱雲が朝のうちから発生し、下山を始める頃にはガスで視界が遮られる程です。森林限界(頭垢離)以下では予想した通りコメガモリ沢の出水が多く、登山道まで川が溢れて流れており、徒渉箇所は水量が増えていました。
 早池峰には'97年から連続4年登りました。'97年に16年ぶりに来た時は早池峰ダムは建設中でしたが、この年の春に完成したとかで水を湛えていました。小さなダムでどれほどの治水効果があるのでしょうか。又、'97年の7月はマイカー規制がなくて道路が非常に混雑していましたが、今では7月と8月の土曜・休日だけマイカー規制が行われるようになりました。
 まだトチナイソウの写真が撮れていないなど未練はありますが、とりあえず早池峰山は卒業したいと思っております。
八ヶ岳(硫黄岳) (2000年7月14日〜7月15日)

 ホームページの中で貧弱なのが、八ヶ岳のページです。しかも私が住んでいる場所から近いのに10年間もご無沙汰しています。 枯れ花で掲載しているウルップソウの写真の更新と、ツクモグサの実の状態の写真でも撮れればの気持ちで今回の八ヶ岳行きを決めました。前回は中山峠から編笠山までの南八ヶ岳を縦走したのですが、今回は花が多い横岳周辺に行けばいいやという安直な計画です。
 1週間前の登山予定は、季節はずれの台風の襲来で一旦延期。まだ梅雨が明けていないのですが、来週になるとウルップソウは完全に枯れ花状態になりそうなので、思い切って出かけましたが、案の定雨に祟られました。雨は勿論のこと、非常に強い風です。
 硫黄岳山荘前の高山植物園では、コマクサがちょうど花期でした。シロバナコマクサも1株だけ咲いていました。ウルップソウの花期は予想通り終わりでしたが、今までホームページに載せていたものよりは、多少まともな写真が撮れました。 雨でカメラが濡れてレンズが結露するうえに、電気系統にトラブルが続発しました。ワインダーは空回りするし、ストロボも発光がおかしくなりました。
 本来は赤岳鉱泉から硫黄岳に登り、横岳と日ノ岳を経て地蔵尾根を下る予定でした。 しかし、写真が撮れない以上、危険な場所が連続する横岳を無理して通る必要もないので、硫黄岳山荘で前進を断念して同じ道を引きかえしましたが、森林限界以下になると稜線の悪天候がウソのようでした。尤も、美濃戸までの長い道程の途中では何回か俄雨に遭い、その度に雨具を着たり脱いだりしたので、汗だくになりました。
 ウルップソウは、八ヶ岳,白馬岳,礼文島でのみ見られます。先月、礼文島を訪れた時はこの花の花期でもあったのですが、見つけることは出来ませんでした。礼文島のウルップソウの個体数は激減しているとのことですが、ここ八ヶ岳では数多く見ることが出来ます。
礼文島 (2000年6月3日〜6月6日)

 礼文島では、エゾヤマザクラが三分咲き、普通のヤエザクラもようやく咲き始めたところで、桜前線がようやく到着した感がありました。 この季節に礼文島を訪れたのはレブンアツモリソウを見る為ですが、先ずは礼文島の縦断です。翌早朝、民宿前から路線バスに乗り、スコトン岬へ。
いよいよ8時間コースに挑戦です。海岸線付近だというのにハクサンチドリ、ミヤマキンバイ、イワベンケイ、ミヤマオダマキ、エゾイヌナズナが咲き乱れており、中部山岳の2,500〜3,000m級に相当する風景が広がっています。 鉄府の手前に有刺鉄線の柵があって、小規模なレブンアツモリソウの自生地がありましたが、株数も少なく花も終わりでした。 花が多かったのは西上泊分岐までで、以後は笹原が続くだけのコースとなります。 ようやく笹泊川を過ぎることから花が増え出しました。
宇遠内で、再び道は登りとなって香深井林道に入ると、ここは一面のミヤマオダマキです。礼文のミヤマオダマキは他の山のものと比べて、花が大きく色も濃い感じです。ここでは、秘かにトチナイソウを期待していたのですが、ついに見かけることはありませんでした。レブンウスユキソウもまだ蕾でした。 8時間コース終点である香深井林道と礼文林道の分岐点で暫く休憩し、礼文林道を続けて歩きました。 ここでは、林道脇にレブンハナシノブ、キクバクワガタなどが見られました。レブンコザクラにもまだ見頃の株が幾つかありました。夕方になるにつれて、利尻島が見え始めましたが、利尻山の沢筋には結構雪が残っていました。
 翌日は、この旅最大の目的であるレブンアツモリソウを見る為に、島北部の自生地に行きました。自生地には厳重な柵が設けられてありましたが、レブンアツモリソウは丁度見頃でした。柵に守られて咲いている姿には、何か悲しいものがあります。 暫くすると雨になりました。バスを乗り継いで礼文島南端の知床に出で、桃岩展望コースに入りました。雨はあがったものの風は相変わらず強く、レブンコザクラやハクサンチドリなどが風に耐えて咲いていました。レブンキンバイソウやレブンウスユキソウは、ここでも蕾の状態でした。 元地海岸まで更に足を伸ばし、焼きウニを肴にウニ酒を飲み、礼文の旅は終了しました。

トチナイソウの花期でもあったのですが、ついに見かけることはありませんでした。花期の早池峰山でも見かけられませんでしたので、個体数が激減していることを今更のように感じました。トチナイソウは、礼文島と早池峰山以外では、崕山とポロヌプリ山にしか分布していない貴重な植物です。

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