1998年


鳳凰山(地蔵岳) (1998年8月23日〜8月24日)

 南アルプスで残しているのが、ホウオウシャジンです。 この花は南アでも鳳凰三山にしか咲いていません。鳳凰三山は南アルプスの中では決して難しい山ではありません。固有種の多い北岳中心に登っていたので、つい後回しになっていました。北岳周辺だと個体数が少なくて、良い写真の撮れていないタカネビランジも今回の目的でした。
 南アの登山口といえば広河原ですが、今回は鳳凰山なので御座石鉱泉に泊まりました。ついていないことに、夜になって乾電池が液漏れしてカメラのワインダーが故障していることに気づきました。おかげでバウンスグリップにストロボ2灯を装着した重装備のカメラを手巻き撮影するハメになり、ワインダーの有り難さを実感した山旅となりました。
 この年は8月になっても天気に恵まれず、何度も計画を中止したうえでの山行きでした。翌週は大雨で、この週だけが天気に恵まれました。鳳凰小屋は、ヤナギランを中心とした花壇に囲まれており、夏の山小屋らしい雰囲気を醸し出していました。ホウオウシャジンやタカネビランジなども植えてあり、ここで目的は達成した感じです。20人程度しか宿泊者がいなかったせいか、食事はおかわり自由。山小屋の食事がおかわり出来るのは始めての経験でした。
 目的のオウオウシャジンには出会えたのですが、やっぱり自然に咲いているものが見たいものです。鳳凰小屋は森林限界以下にあるわけですし、ここで撮った写真はやはりインチキです。 そんなわけで、翌朝早々に地蔵岳目指して小屋を出発しました。地蔵岳直下のザレ場は急で、僅かな距離なのに登るのに意外と手間取りました。地蔵岳に着いた時は、快晴で眺望は最高でした。地蔵岳山頂にあるオベリスクには途中までしか登れなかったので、地蔵岳に登ったことになるのかしら。地蔵岳周辺にはタカネビランジが多かったのですが、花期を過ぎており花の傷みが目立ちました。
 アカヌケ沢ノ頭の岩場でようやく天然物のホウオウシャジンに出会えました。でも株が小さく花数は2つでした。 アカヌケ沢ノ頭には、あちこちにホウオウシャジンが見られましたが、いずれも小さな株ばかりでした。鳳凰小屋の花壇のものは大株でしたが、そうとう手が入っているんだろうなあ。肥料もたっぷり施したりして..........。
 当初は荷物を分岐点に置いて観音岳まで往復しようと思っていたのですが、写真撮影に手間取ったのと、当日の夕方に予定があったので、諦めて下山しました。ところが帰り道を急ぎ過ぎて、結局膝がおかしくなってしまいました。いわゆる膝が笑う現象で、後から来た女性グループにテープを持っていた人がいたので、膝をテーピングしてもらいゆっくり自力下山しました。 当日お世話になった方、有り難う御座いました。
 そんな訳で、今回も散々な山行でした。でも、内容はともかくホウオウシャジンが撮れたので南アルプスの主な固有種は、ほぼ撮り終えたものと思っています。来年は少し別の山にでも登ってこようかと思っています。
早池峰山 (1998年6月29日)

 早池峰山で残しているのが、ヒメコザクラです。 この花は6月頃咲きます。私は、仕事の関係で6月に休みが取れません。 日曜日狙いでは日程や天候の影響を考えるとキツイので、つい残ってしまいました。
 今回も6月末では、"ヒメコザクラの枯れ花が見られればいいや"位の気持ちでした。 又、この頃なら早池峰山を南限とするトチナイソウに出会えることも期待しながら早池峰山に向かいました。
 この年は東北地方に梅雨前線がかかったままで、梅雨明けが無いという異常な年でした。 天気にやきもきしながら、梅雨前線が南下するのを待って、予定を1日延ばしての山行きでしたが、結局登りは雨になってしまいました。季節が早かったのと雨のおかげで静かな山旅ができました。
 ヒメコザクラを見るために行ったのですが、峰南荘の主人や途中で出会った高山植物監視員のおじさんの話によると、この年はエルニーニョの影響で雪が非常に少なかった上に、4月の気温が異常に高く、4月には雪田の雪が融けてしまう程だったとのことでした。この為、5月の初めにはヒメコザクラは咲き終わってしまい、それも花茎が通常より半分程度で咲いてしまうという異常さだったということでした。 又、トチナイソウも最近では個体数が減ってしまい登山道の脇などでは見られなくなっているとのことです。 そんなわけで、今回もヒメコザクラとトチナイソウには会えずじまいでした。それどころか、7月20日頃が花期のハヤチネウスユキソウが今を盛りに咲いているし、小田越の道ではサマニヨモギまでが花をつけ始めている程の異常な年でした。トチナイソウは、礼文島か崕山などの北海道の山でしか見られないのかなあと思いつつ下山しました。
 しかもついていないことに、下山途中でアクセサリーシューがおかしくなって30分も調整に費やしてしまうし、帰ってから現像に出したら1本目のフィルムの巻き上げが不良で、重なって写っているなど散々な結果となってしまいました。
 そんな訳で、今回も早池峰山は卒業証書を発行してくれませんでした。来年こそはと思っています。

登山日記の先頭に戻る


トップページに戻る